一人旅でインドへ行った時に出会った日本人の話

深夜特急〈3〉インド・ネパール (新潮文庫)

1 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします XKvl+j0s0

俺が10年前くらいに外国へ行った時の話だ。
俺に関しての恋愛系の話ではない。
最近ふと思い出したから書いてく。

2 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします XKvl+j0s0

俺は今から十年前に一人旅でインドへ行ったんだ。
長野に住んでいる俺は、休暇ができてはノープランで上高地へ行ったり、
松本城へ行ったりなど、とにかくひとりで旅行するのが好きだった。

今回のインドは長期休暇ができたのもあったし、以前にもインドへ行ったことがあったんだが
その時は友達と行ったので、今回は一人が良かった。
そして、飯も宿も決めない全くのノープランで俺は日本を旅立った。

元スレ: http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1375360316/
外国で会った日本人の話

5 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします XKvl+j0s0

そしてデリーを観光したりして、帰国する3日前になった。
その夜は近くのちょっとお高めのホテルに泊まった。
外見はそこまで良くなかった。見るからにボロボロだったし、ツタの葉が壁に這っていて
入り難い雰囲気があった。
だがクーラーもついていたし、他のホテルよりは全然居心地が良かった。

そのホテルの一階にはなぜか中華のレストランがあったのでその夜は
そこで飯を食べることにした。
行ったところ、自分の他に夕食を食べている男がいた。
その人はビールを片手に小説を読んでいた。

7 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします XKvl+j0s0

よく見てみると、どうも日本人のようだった。
せっかく一人旅に来たが、何かの縁だと思って、思い切って話しかけてみた。

俺「どうも。日本人の方ですよね?」

男「え、ああ、こんにちは」

少し話かけられたことにビックリしているようだった。

俺「自分夕食まだなので、相席してもよろしいですか?」

男「ええ、どうぞ。自分もまだなんですよ」

そのあとはどこから来たとか、何歳だとか、料理を食べながらそんな話をした。


結局最後まで名前は分からなかったが、ここでは仲のいい友達の名前を借りて、
百瀬としよう。

8 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします XKvl+j0s0

見てる人いないかな



百瀬の年齢は21、つまり大学生。自分より年下だった。
東京からきたようだ。
大学の名前は言ってはいなかったが、最寄駅と、そこからの徒歩での時間で考えたら
多分早稲田大学だったんだと思う。

最初、百瀬は自分が大学生と言ったが、途中で大学生だった、と言い直した。
なんで?とは思ったが、百瀬なりの事情があるんだろうと思ったので、聞かなかった。


俺「俺は、一人旅でここへ来てるんだけど、百瀬は何しにきたんだ?」

百瀬「日本での生活が嫌になって。」

俺「ごめん、触れちゃいけないことだったかな」

百瀬「いや、聞いてくれてもいいですよ。誰かに聞いてもらいたいのもあるんで。」

そう言って百瀬は語り始めた。

9 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします XKvl+j0s0

百瀬はその当時の3年前、コンビニでバイトをしていた。
あるとき、そのコンビニで働いていた女性からあるお願いをされた。
自分の娘の家庭教師をやってほしいとのことだった。
その女性の娘(仮にあかりとする)は中3で学校にもいかず、毎晩毎晩遅くに帰ってきてるらしい。
親としては高校受験が心配だと言うことだった。
百瀬はあっさりと快諾して、あかりの家庭教師をやることにした。

そして、勉強を教えるために女性の家を訪れた。
しかし、あかりはいなかった。おかしいなとは思いながら少し待ったところ、
あかりが家に入ってきた。
第一印象は、「ギャル」。髪の毛は金髪、化粧もすごかったらしい。
勉強を教える為に来たことを伝えると、めんどくさそうに部屋にはいった。

11 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします XKvl+j0s0

まず百瀬は中学一年の正、負の数からやることにした。
しかし、できない。普通に足すことは出来るが、マイナスとかが入るとわかんなくなるらしい。
次に掛け算をやらせてみたが、できない。
掛け算なら、マイナスプラスかはともかく、数字だけならわかると思う。

百瀬は流石におかしいと思っていつから学校に行かなくなったのかを聞いた。
すると小5からだそうだ。
正確に言えば、学校には行ってらしいが、授業には全く出ないで学校の中をウロウロしてたらしい。
一ヶ月に一回出るか出ないかだったらしい。
だから百瀬は、本屋で教材を買ってきて、小5の範囲からやることにした。


これがその年の6月だそうだ。

12 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします XKvl+j0s0

最初はあかりも勉強にはやる気がなかった。
百瀬がいくら教えても、聞き流すだけだったらしい。

しかし、百瀬が必死になって教えていればあかりも変わった。
いつも百瀬が家に行くと少し遅れてあかりは来た。
でもだんだん百瀬が家に来てあかりが家に到着する間の時間が短くなり、
百瀬が家に来る前にあかりが家にいることが多くなった。
最終的には、百瀬が来る前にあかりは教材、お茶、お菓子などの用意するようになった。

勉強にも精は出て、聞き流すだけだったのが百瀬の顔と教材をにらめっこするようになった。
あかりはだんだん真面目になっていった。

だから百瀬は、勉強教えるだけでなく、人間性をかえようと思った。
毎晩毎晩遊びほうけてるのではなくて、ちゃんと高校に合格してバイトをして、
親孝行ができる人間に。

百瀬が金髪を黒に染めろと言えば、次に見るときは黒だった。
もしかしたら、百瀬が教えに来るときだけ黒に染めていたのかもしれない。
それでも百瀬が言ったことは守っていた。

百瀬が化粧をやめろといえば綺麗さっぱりなくなっていた。
これは百瀬の前だけでなく、完璧にやめていたらしい。
一度街であかりを見たら、化粧はまったくしていなかったそうだ

13 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします XKvl+j0s0

ここまでくればわかると思うが、あかりは百瀬のことが好きだった。
男遊びの中で作った彼氏とは違う、本気で彼氏にしたいと思った。

そしてその年の9月に小学校の全過程が終了した。
受験は3月だったので残りで中学の過程を終了させないといけなかった。

だが、百瀬の教え方、あかりの熱心さの甲斐あってギリギリで中学の過程を終了し、
あかりは市内の通信制の高校へ入学した。

こうなれば、百瀬の役目は終わる。
こうして百瀬はあかりの家庭教師を終えた。

そしてその年の5月、百瀬のアパートを訪れる者がいた。

14 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします XKvl+j0s0

あかり「来ちゃった♪」

ということだったらしい。
どうすればいいかわからない百瀬はとりあえず家に上げ、彼女にお母さんに電話した

百瀬「すいません百瀬です。あかりさんが私の家にいるんですが。」

お母さん「やっぱり・・・そっちに行きましたか。」

百瀬「と、いうと?」

お母さん「何度も止めたんですけど、百瀬さんのとこに行くと聞かなくて。
      だから百瀬さん、あの子をお願いします。」

と言って、電話を切った。

おねがいしますということはあかりを育てなくてはならない。
百瀬はバイトをしているが、そんな程度で生活できるわけがない。 
だからとりあえず、大学で必要と言う名目で親にお金を借りることにした。
大学に行っている間は、あかりにずっと家にいろと言えば、本当にずっと家にいて簡単な掃除までするようになった。

15 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします XKvl+j0s0

百瀬には当時彼女がいたが、自分のためにここまでしてくれるあかりに恋愛感情が生まれてきた。
百瀬はいつの間にか、あかりのことが好きになっていった。

ここで、「教え子と一緒に暮らす」から「同棲」と言う形になった。
百瀬も彼女と別れた。



百瀬はあかりと暮らすために大学を中退し、近所の会社の正社員として働き始めた。
あかりの方も百瀬の役に立つため、料理の仕方を覚えたり、バイトしたりなど、どんどん二人の生活は安定していった。

そんな生活が約9ヶ月ほど続いいたころ、あかりの夜遊びの癖またが出てきた。
縁を切っていたハズの昔のセフレやヤンキーの友達とまたつるむようになった。
百瀬はあかりがいなくなる度に街へ探しに行き、連れ戻した。

だんだんとあかりも百瀬もお互いの恋愛感情がなくなり、すれ違う日が多くなった。
このままの状態が続くのはまずいと思った百瀬は、あかりと別れようと決めた。その結果、あかりとは別れたが、百瀬は自分の家に住めばいいのだが、あかりは行くところがない。
だから二人はこう決めた。
「一応別れるが、一緒に暮らす。以前と変わらない生活をしよう。」

それに従って生活することにした。

16 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします XKvl+j0s0

簡単にいえば、別れてはいるが、一緒の部屋で生活しているという感じだ。
変わったことと言えば、恋人の関係から兄妹のような関係になったことだ。
だから困ったときも兄代わりである、百瀬を頼り、あかりに新しい彼氏が出来たら百瀬に紹介したりなど、本物の兄妹のようだった。

そんな生活がしばらく続いた。百瀬にとってはいままでの生活は居心地の良いものだった。しかし、限界は来る。
百瀬は今の生活がイヤになってきたのだ。
だから百瀬はここを出て行こうと決心した。あかりがいない時間を使い、自分の物を整理したりして荷物をまとめた。
貯金は約400万円。
百瀬はこのうちの50万円だけをもらい、置き手紙を残しアパートを出て行った。
置き手紙には突然出て行ったことに対する謝罪と、「これをあなたが読んでいるとき、自分はあなたの手の届かないとこにいると思います。だから探しても絶対に見つかりません。」と書いた。
そして百瀬はどこでもいいから一番早い海外への航空便に乗り、インドへやってきた。

インドへやってきたのが三日前の話だ。



ここまで、百瀬が語った。

17 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします XKvl+j0s0

百瀬はもう少しインドへ滞在したら日本に帰るらしい。
だから俺は残りの一日を百瀬と観光をした。

百瀬と別れる前に、俺は自分の住所を書いた紙を渡した。
日本に帰国したら一緒に飲みにいこうと俺は誘った。
だからよければ自分に手紙を書いて送って欲しいと俺は言った。
そう言って百瀬と俺は別れた。


10年経った今でも手紙は一通も来ていない。
もしできるならもう一度百瀬と会って話がしたい。

それだけだ

18 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします ID:eds8h9om0

これ実話?面白かった。文章上手だな
百瀬インドで死んだとおもう

20 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします XKvl+j0s0

>>18
50万使ってヨーロッパ方面に行けるとこまで行くって言ってた

24 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします ID:B/JOsmOA0

百瀬「来ちゃった♪」

25 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします XKvl+j0s0

>>24
それで来たら俺はどんな反応をするんだろうか

ランダム記事紹介

コメント

おーおー好き勝手泣かせなさるオーイオイオイ

あかりちゃんと付き合ってとかは早計だったね
親も見離したみたいだし…( ;´Д`)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です